クランクイン!
  •  THE YELLOW MONKEY・吉井和哉のドキュメンタリー映画『みらいのうた』が12月5日に公開。今年度の第38回東京国際映画祭にも公式出品された本作では、エリザベス宮地監督が約3年間密着。吉井のルーツとともに、彼が10代の時に加入したバンド「URGH POLICE」のボーカルEROと約束したセッションまでの道のり、そして自身の喉頭がん発覚から東京ドームでのTHE YELLOW MONKEYの復活ライブまでの軌跡が映し出されている。予想だにしない人生の一片でありながらも「こんなにもつじつまが合うのかと思うぐらい、自分の人生が映画化されていた」という吉井。まるで導かれるように形となった本作の撮影を振り返り、そして今の想いを語ってくれた。
    ■この映画を作るためにミュージシャンとして成功したんじゃないかなというぐらい、自分にとって人生の代表作
     吉井が「師匠でもあり反面教師」と語るEROは、2021年に脳梗塞で倒れ、療養中だった。吉井は彼のためにできることはないかと思い、40年ぶりにセッションをすることを約束。その様子を追ったドキュメンタリーの撮影が始まった。そのなかで、幼い頃に亡くした父、母や今でも続く旧友らとの交流を通して“吉井和哉”という人間と音楽のルーツが紐解かれていく。
     一方、撮影開始後に吉井の喉頭がんが発覚。そこから2024年4月に復活を遂げた東京ドーム公演までの裏側とパフォーマンスも収められている。また、その間に吉井とTHE YELLOW MONKEYが携わったBiSHのラストシングル「Bye-Bye Show」の制作過程や、共に在籍したロックレーベル「TRIAD」の盟友、THEE MICHELLE GUN ELEPHANT/The Birthdayの故・チバユウスケさんについても語られている。さまざまな要素が詰め込まれた本作はやがて自然な流れで、父が亡くなって50年が経ち心機一転作った楽曲「みらいのうた」(2021年)につながっていったという。
    ――完成をご覧になって率直にどう感じましたか?
    吉井:僕のキャリアはミュージシャンですけど、何だかこの映画を作るためにミュージシャンとして成功したんじゃないかなというぐらい、自分にとって人生の代表作だと思いました。
    ドキュメンタリーってハプニングがないと面白くないじゃないですか(笑)。だから、撮影中は何かハプニングが起きるたびに「よしっ!」みたいな気持ちにもなったし、がんもお医者さんに治ると言われていて、安心してちゃんと治療を進めていたので、そんなにシリアスになることもなかった。ちょうど撮っている時期が、占いで僕の50年に1度のラッキーイヤーだったんですよ。でも、がんになってるし、どこがやねんって思いましたけど(苦笑)。今思い返せばラッキーですよね。こんなにすごい映画が撮れてるんだから。
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